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彦根フィールドワーク2回目は、地域の魅力をたどる彦根発まちあるきと近江鉄道の旅

  • yasashiikotsushiga
  • 9 時間前
  • 読了時間: 7分

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●まちあるきに出発

 9月21日(日)、彦根フィールドワーク2回目「実際に乗ってあちこちめぐってみよう」を開催しました。まちあるきにふさわしい秋晴れの日です。

 10時半に彦根城のすぐそば、京橋の交差点にめいめい公共交通を利用して集合。関係者を含めて20名の参加者が集まりました。

 行政職員で個人として観光ガイドを行う鈴木達也さんと、彦根景観フォーラムの濱崎一志さんが今回の案内人です。


 古い町並みが保全され、観光客向けのお店が立ち並ぶ夢京橋キャッスルロードを見学しながら通り過ぎ、細い細い横道へと入っていきます。

 そこはかつて足軽屋敷が1000軒あったという場所でした。今でも武家屋敷が30棟ほど残っています。足軽はもっとも下級の武士で他地域では長屋住まいが普通でしたが、彦根藩では手厚く処遇されていたそうです。見張りを行った辻番所のある屋敷内を見学させてもらったり、古い屋敷を活かしたまちづくり拠点をのぞいたりしながら、銀座商店街へ。

 江戸時代の古地図と昭和30年代に多くの家屋の建て直しがされた現在の地図を照らし合わせると、昔の道がそのまま生かされていることがわかりました。



町家の二階の低さを説明する濱崎一志さん
町家の二階の低さを説明する濱崎一志さん

●花しょうぶ通り商店街は伝建地区

 昼食休憩後は河原町の伝統的建造物群保存地区へ向かいます。

 花しょうぶ通り商店街を歩くと、両脇に古い町家や趣ある洋風建築が並んでいます。「寺子屋力石」など、一般公開されたりまちづくり拠点にされたりしている建物を見学させてもらい、屋根の上の鍾馗さん(瓦製の人形、魔除け)やうだつ(屋根の両端の小屋根)を見つけながら進みました。

 しかしそのそばを車が何台も通り過ぎ、「車が来まーす!」とスタッフが何度も注意の声を上げながらの見学となりました。



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●多賀大社前へ

 ひこね芹川駅から近江鉄道に乗車し、高宮駅で乗り換えて多賀大社前駅へ。

 駅から表参道の絵馬通りを歩いて、多賀大社へ向かいます。保全された古い町並みがきれいで、こちらも目移りしますが、やはり車がばんばんと通り過ぎ、歩きにくさを感じました。

 車が真っ直ぐ走れないようにストリートファニチャーが設置されていますが、何度も車にぶつかられてしょっちゅう壊れているそう。



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 それから「お伊勢参らばお多賀へ参れ」の多賀大社にお参りを。伊勢神宮の天照大神を産んだ夫婦神がご祭神の、由緒ある大社です。大正時代に建て直しがされたそう。境内には大社の杜や小川があり、1588年に建てられたという太閤蔵も見ることができました。


 ここからは自由に多賀大社前を楽しみました。

 糸切餅やかき氷を食べ歩いたり、地ビールを味わったり。町家と蔵を改造した「あさひやカフェ」は古さとアートが融合した素敵な空間でした。駅前では「ばったん床机」(たたんで壁に片付けられるベンチ)を発見。

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 二手に分かれ、豊郷駅へ行くグループは早めに多賀を去り、のんびりしたグループは彦根の七曲がりへ行くため彦根口へ近江鉄道で移動して、それぞれに観光を体験します。



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●彦根広域観光、豊郷町へ

 豊郷町グループは高宮駅で乗り換え待ちの間に駅周辺を楽しんだ後、豊郷小学校旧校舎群へ。まちの至る所でウサギとカメのシンボルを見つけ、たくさんの観光客に驚き、地ものの坊ちゃん南瓜を使ったプリンを味わい、見どころいっぱいの豊郷町を満喫しました。



仏壇の錺金具(かざりかなぐ)を作る職人の仕事について説明する鈴木達也さん
仏壇の錺金具(かざりかなぐ)を作る職人の仕事について説明する鈴木達也さん

●彦根市内にもまだまだお楽しみスポットが

 七曲がりグループは再び彦根市内のまちあるき。鈴木さん、濱崎さんの案内で、たくさんの文化資産を発見しながら歩きました。道中にあった鈴木さんのお宅は移築された重要文化財だということで、いったん完全にバラバラにしてからこの場所に元どおりの姿に立て直した話などを聞かせていただきました。

 また、七曲がりは仏壇のまちとして有名で、「永楽屋」さんでは見学をさせてもらい、うるし職人の方のお話を聞くこともできました。



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●一日の学びをふりかえって

 まちあるき後は2グループともOn Your Markに集合して、4班に分かれ、ふりかえりを行いました。

 出ていた主な意見は以下のとおりです。


・歴史ある建物がたくさん見られた

・建物内部の見学や仏壇職人の話がよかった

・古地図と現在の区画を対比させた話が面白い

・大通りの裏道が楽しい、歩くことで気づける

・各まちに特色があり長く歩いても意外と飽きない

・多賀の門前町は活気があり町並みもきれい

・豊郷町の 旧豊郷小学校群は見どころは多く90分じゃ済まない

・彦根の観光案内所に豊郷のパンフがない

・駅からの観光案内、誘導の標示がほしい

・休めるスポットが少ない

・カフェなどのお店がわかりにくい、営業時間が短い

・まちの魅力があまり発信されていない

・近江鉄道の本数が少ない、初めての人には乗り方が難しい

・彦根の花しょうぶ商店街や多賀の絵馬通りは車が多く歩行者に危険


●終わりに

 最後に、今回の司会の忠田季空がまとめました。

 「『彦根90分問題』、今は彦根に来た観光客は彦根城だけ見て90分だけで帰ってしまうけれど、今日のように一日歩いてもまだまだ見るところがあると思えるのに、それはおかしい。

 だけどそれは彦根周辺に何があるのかを知らないから。魅力を伝えられていない、また危ない道を放置している、それはまちの責任。知ってほしい魅力を、観光客に伝えていこう。

 今日はガイドが居てくれたからよくわかって楽しかったけれど、いなくても楽しめるツールを作っていきましょう。

 彦根周辺の観光で行くべき場所を三つ教えてください。それをもとに、次回までに観光プランを試作してみます。一緒に考えてみたい人、ぜひご協力をお願いします」



●意見交換は続く……

 これで会はいったんお開きにして、お決まりの懇親会に移行しましたが、そこでも意見交換が続きました。


 観光面では、まちの魅力や発信の仕方についての話が出ました。

・彦根、多賀、豊郷、それぞれに知らなかった魅力がいっぱいで、 歩くことでたっぷり観光を楽しめる。

・彦根市内を周遊するだけで、彦根城に行かなくても十分楽しめる。

・でも、彦根から近江鉄道線で少し足を伸ばすだけで、また違った観光資源がたくさんある。

・行政が観光プランや観光マップを作ると、「うちのまち内だけで」完結するものになるけれど、観光客には市域や町域は関係ない。広域で考えた方がいい。


 そして、交通面についても、歩いてみて車の往来が気になったなどの意見が多発しました。

・彦根市内、多賀大社前、観光地の周りに車で危ない道が多すぎる。足軽屋敷の前も細いのに車が通る。観光客が安全に移動できるのか。

・花しょうぶ通りや絵馬通りは車を止めて歩行者天国にするのがいい。駐車場は遠くに造って、まちなかを歩かせる。

・彦根城のいろは松の前は桜のスポットなのに車が一番通る。広場にすべきだ。

・京橋を渡ると駐車場。左右の歩道が狭い。車は橋を一方通行にして歩道を3倍にした方がいい。自転車を歩道に誘導しているのもおかしい。

・車は渋滞させておいて、車で来ると不便だと知らせる方がいい。


 こういった意見が出てくるのも、前回のフィールドワークでの講義や、第0回スタッフ講習会での学びの成果だと思えました。

 なお、彦根城の敷地内に車を入れないという方針が行政にも実はあって、世界遺産登録や国スポ・障スポの関係で今年中に実現するはずだったのが遅れているのだとか。彦根市の方針も、車の往来を制限するウォーカブルな方向に向かっているのだそうです。


●さて次回は?

 彦根フィールドワークの3回目、11月23日(日)は公共交通を使った観光プラン体験を行います。

 皆さんから挙げてもらった「行くべき場所みっつ」を元に、公共交通のダイヤを入れて、企画スタッフで2泊3日の観光プランを作ります。

 午前に彦根や湖東地域を移動するバスなどの事情を勉強してから、午後は試作された観光プランの一部を3班に分かれて実際に体験します。

 今回は二人のガイドの案内があったから楽しめましたが、そのガイドがいなくても良い観光プランになるか? 豆知識や小ネタ満載のガイドマップを作ってみるので乞うご期待、とのことです。


 一連のフィールドワークの最終回となります。過去2回の体験がどんなふうに仕上がっていくのか、ご自身で確かめにぜひいらしてくださいね。

(やさしい交通しが 南村多津恵)

 
 
 

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