彦根フィールドワークもスタートです めざせ観光交通コンシェルジュ
- yasashiikotsushiga
- 4 時間前
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まちと交通の未来づくりフォーラム、二つ目の地域でのフィールドワークが始まりました。
彦根フィールドワークの初回「彦根の観光と公共交通を知ろう」は9月7日(日)に彦根駅近くの彦根コミュニティカフェOn Your Markにて開催しました。
参加したのは関係者含め22名です。
彦根地域でのフィールドワークのテーマは「公共交通を活かした観光まちづくり」です。
彦根市の観光と言えば最新のトピックは、世界遺産登録を目指していた彦根城が、国の文化審議会によって今年の国内推薦は見送ると決定されたことです。出鼻をくじかれた感がありますが、気を取り直して。
●彦根フィールドワークがめざすもの
はじめに本企画を担当するやさしい交通しがの忠田季空から、趣旨を説明しました。

彦根観光には問題が二つあります。一つは「彦根観光90分問題」。観光客は車で彦根城に来てキャッスルロードでお土産を買って、たった90分で帰ってしまう。
二つ目は「観光渋滞」です。桜と紅葉のシーズンは彦根インターチェンジがひどく渋滞して地元の人も動けなくなります。
この状態のままで彦根城が世界遺産になったら、一般的に観光客数は1.5倍になると考えられ、120万人が押しかけたときに彦根がよい観光地になるかと考えると、この二つの問題を解決しなければなりません。
観光庁が日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)を示しています。車は渋滞だけでなく光害や騒音の問題も引き起こします。一方で、環境負荷の小さい公共交通は持続可能な観光地づくりに適しています。
観光客に「彦根城以外にどこに行ったらいいですか?」と尋ねられたときに、その人の関心に合わせ「バスや鉄道を使ってここへ行くといいですよ」と案内できる“観光交通コンシェルジュ”になれる市民がいるといい。楽しんで公共交通を利用することで、住んでいる人のためにも観光渋滞を軽減していく、そうして住みやすいまちをつくりたいというのがこの企画のめざすところです。
●彦根シティプロモーション戦略推進委員会とのコラボ
次に、このフィールドワークの企画に協力いただいている彦根市シティプロモーション戦略推進委員会の企画サポートグループ、山下達也さんと高田元貴さんから、活動について紹介がありました。

シティプロモーション委員会は、彦根に関わるすべての人たちに、まちに誇りと魅力を感じ、彦根への愛着を深めてもらうこと、つまりシビックプライド(住むまちに対する誇り)を高めることを目指しているとのことで、今回のフィールドワークへの参加もシティプロモーションの一環であるとのこと。
地元の人が地元に目を向けるきっかけをつくるために、これまでにロケ地マップ、彦根のオススメマップ、まち歩きマップなどのまちマップを作成されてきました。
今年度はこのフィールドワークを通じて、彦根の魅力ある地をめぐるモデルプランを完成させ、周知していきたいと話されました。
●講義「観光の誤りと交通まちづくり」
ここからは座学で理論を押さえます。やさしい交通しがの山田和昭が、2015年から交通業界で働く中での体験から、観光と交通の接点、彦根の観光における課題についてお話ししました。

彦根市は新幹線停車駅のすぐ隣で、新快速が停まり、高速のインターチェンジがあり、幹線国道が走っているという交通の要衝です。しかも大学や高校があり、国宝があり、さらに伝統的建造物群保存地区もあるというとても恵まれた環境にあります。それがうまくいかないのは、クルマ社会に変わって、街の中心部に人が寄りつかなくなったからという指摘をしました。彦根城の中に駐車場があることで観光客は車で来て回遊せずに帰ってしまいます。公共交通が廃れると渋滞が起こりまちは活気を失っていきます。
観光はプロがしのぎを削る商売だから、闇雲に取り組まないで戦略を持とう。彦根の観光のターゲットとなる層はどこか絞り込もう、リピーターを呼び込もう、ディープな観光でのべ宿泊数を増やそう、イベントの日以外も稼げる仕組みを作ろう、彦根をめざして来る客を開拓するより京都や名古屋に来る客についでに寄らせてファンにするなどの戦略をきちんと持とうと提案がありました。
栃木県宇都宮市ではLRT(新型路面電車)が走ったことでまちの風景に品格が生まれ市民のシビックプライドが高まった例を紹介し、交通は市民のまちへの愛着を高めることができるし観光資源にもなることを紹介し、彦根のバス路線も放っておけばなくなってしまうから、あるうちにきちんと活かしていこうと呼びかけました。
続いて、彦根と滋賀の観光の現状について、忠田よりお話ししました。彦根城は県内で8番目に観光客が多く、年間来場者は66万人ぐらい、50代から60代の二人連れが中心で、63%が車やバイクで来訪、宿泊客は日帰り客の6倍近いお金を消費している、ことなどをデータで紹介しました。
そして、伊勢神宮では近鉄電車での来訪が便利と打ち出し、回るルートを指定することで観光客の回遊を促しています、彦根でもそういう戦略を皆さんと一緒に考えたい、やってみようと呼びかけました。
●ワーク1「周辺の魅力スポットと公共交通を知ろう」
休憩の後はワークショップです。4グループに分かれて、グループごとに作業しました。
彦根周辺の魅力スポットをふせんに書いて、床に広げられた大きな地図の上に貼り付けていきます。
それから、公共交通が走っているルートを地図上にテープで貼り付けて、それぞれのスポットに公共交通でたどり着けるかを確認しました。

●ワーク2「どんな旅がしたい?」
そして、グループで1泊2日の旅行プランを立ててみます。家族か友人や恋人と一緒に、5月1日の10時に彦根駅に鉄道で到着して、5月2日の12時に彦根を出立するという想定です。
グループの仲間でああでもないこうでもないと考えて、なかなか決まりません。予定の時間をオーバーして発表までこぎ着けました。
・1班:50代の夫婦、神社めぐりがテーマ。シャトルバスで竹生島クルーズへ。昼食はクラブハリエ ジュブリルタンにて。神社を訪問し、夜にライトアップされた彦根城へ、キャッスルロード周辺で宿泊。2日目は多賀大社へ。
・2班:両親と中学生の娘の3人。宿に荷物を預けて、レンタサイクルで彦根港へ行き、竹生島へ。浜辺で夕陽を堪能する。2日目はキャッスルロード散策。
・3班:50代の夫婦。多賀大社へ行き、彦根キャッスルロードで食事して多景島クルーズへ。亀の井ホテルにチェックイン。松原の湖岸を散策。2日目は彦根城から玄宮園へ、近江ちゃんぽんを食べる。
・4班:夫婦と小学校中学年の子2人。駅から彦根城へ歩いて行き、天守閣で13時半にひこにゃんに会う。彦根ゲストハウス淡夢に宿泊し、キャッスルロードで食事をとる。カインズあたりの砂利浜で夕陽を楽しむ。2日目は多賀大社へ。

考えてはみたけれど、これで本当に実行できる? 詰め込みすぎでは?という意見が出てきました。
1泊2日で彦根城を必須にすると動きが制限されて、高宮に行ったり豊郷小学校旧校舎群に行ったりするのが難しくなるとも。何日か滞在するとして、彦根城にはどの時間帯に行くか? 彦根城以外にはどこに行くか? あえて彦根城を外すという旅程はどうか? 今日のプランをもう少し練ってみて、次回に持ち寄ってみましょうということが宿題になりました。
●さて次回は
次のフィールドワークは9月21日(日)です。
キャッスルロードの京橋交差点に集合し、史跡を回り、銀座商店街から古民家のある地域を抜けて近江鉄道で多賀大社へ。グループごとに自由に過ごした後、彦根に戻るというプランです。
3回のフィールドワーク終了後、みんな公共交通を使った観光案内ができるようになるでしょうか?
今後の展開に期待します。
<おまけ>
終了後は懇親会です。カフェマスターが腕を振るい、みんなで準備も片付けも手伝って。
わいわいと楽しい時間を過ごしました。
(やさしい交通しが 南村多津恵)

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