草津フィールドワークの2回目は、バス・自転車・新交通の3プログラムに展開
- yasashiikotsushiga
- 11月11日
- 読了時間: 7分

まちと交通の未来づくりフォーラム、後半も大詰めです。
草津フィールドワークの2回目「暮らしと交通の現場を見に行こう」は、テーマごとに現場での三つのプログラムに展開して開催しました。
1.プログラムD「バス活用で楽々移動・名所にも行けるまち」
日時:11月1日(土)13:00-17:00 参加者8名

路線バスと草津市のコミュニティバス「まめバス」を利用して、草津の知られざる歴史資源を探訪しつつ、公共交通は市民の暮らしを支えられるのかを、普段は乗らないバスに乗ってみることで検証しました。
南草津駅に集合したところ、立命館大学で都市計画を学ぶ学生たちが駅西口の公園で、子どもたちと一緒に手作りしたベンチやハンモックを使ってイベントを開催している現場に遭遇。駅近にこんな広場があったことを知らなかったメンバーも多く、活用次第で公共交通活性化の一助になると、活用方法についてしばし議論しているうちにバスに乗り遅れ(笑)、予定より20分遅れのバスで立命館大学BKCへ向かいました。
立命館大学ではボランティアガイドの高橋小百合さんの案内で、グラウンドの地下にある古代の製鉄所「木瓜原(ぼけわら)遺跡」を見学しました。7世紀の終わりから8世紀初めにかけて、国の施設整備に使う資材を供給するための官営コンビナートだったそうです。「もののけ姫」に出てきた「タタラ場」を思い出しながら、グラウンドのはるか下にこんな遺跡があることに驚くと同時に、これを守り続けてきた地域の人々に畏敬の念を覚えました。
再びバスに乗り、巨大な学生マンション「クレスト草津」のバス停で降り、歩いて高速道路を超える歩道橋を渡り、そこから階段を下りて「草津パーキングエリア(PA)」へ。PAに歩いて入る秘密めいたワクワク感に心躍らせながら、お買い物を楽しみました。近江米100%のみたらし団子や三井寺力餅など近江の美味しいものが並ぶ中、メンバーのみんなが飛びついたのは、やっぱり草津名物「うばがもち」! PAの休憩コーナーで、お茶とうばがもちでほっこりしながら意見交換しました。
帰りは「まめバス」で南草津駅に向かいました。いろんな地域をぐるぐる回ってから駅に行くので、想像以上に時間がかかりました。バスの中では、ファシリテータの大塚佐緒里さんの解説を聞いたり、すっかり親しくなったメンバーでお喋りしたりしながら楽しく過ごしました。
「普段は自家用車で通っている道も、バスに乗ってみると『まちの表情』がまったく違って見えた」「実際に乗ってこそわかることも多く、その上で利用しやすいまちを考えることが、本当のまちづくりだと思った」「PAに東京行きの高速バス乗り場があったら便利」「商業施設や病院などが集まるタウンがあちこちにあり、草津は便利なまちだと思った」「しかし、そのタウンへ行くためのクルマ、自転車は高齢になると乗れない時期が来るので、やはりバスの本数が増えて移動も便利なまちになると良いと思った」、様々な意見を聞けて交流も深まり、地域の歴史の勉強もできた良い一日でした。
2.プログラムA「公共交通と自転車で快適なまち」
日時:11月2日(日)13:00-16:30 参加者8名

公共交通と並んでエコな移動方法である自転車。公共交通と組み合わせることで行動範囲が広がります。草津がもっと自転車を使いやすいまちになったらいいなと考え、自転車で市内をめぐり、自転車の走りやすさを体感しました。
草津駅に集合し、「謎解きサイクリング‐温泉ないけどいいとこ草津-」にチャレンジしながら、自転車の達人の案内で、前半は旧草津川沿いのサイクリングロードから湖岸道路の自転車歩行者専用道の快走ルートを紅葉を楽しみつつ走りました。
後半は、矢橋帰帆島から南草津駅に向かう交通量の多い幹線道路を、自転車の通る位置や自転車のルールとマナーを確認しながら進んだ後、旧街道の風情の残る旧東海道を走りました。
最後は、キラリエ草津でふりかえりと学びの時間。自転車用に整備された道は走りやすかったけれど、それ以外のまちなかの道はクルマ優先でこわいと感じたことを共有しました。
そしてゲストの輪の国びわ湖推進協議会・藤本芳一会長からミニ講義を受けました。世界では自転車は車道通行が当たり前であり、自転車先進国では自転車用の走行空間が整備されているか、あるいはドライバーが自転車にきちんと気を配ってくれるかで、自転車は安心して車道を走れるのが日本と違うところだとのこと。交通は弱者優先が原則であり、歩行者→自転車→公共交通→業務用車→自家用車の順に大切にされ、それぞれが平等に道路の空間を分け合っているオランダのまちの写真を見せてもらいました。青切符制度の導入で自転車のルールはどう変わるかなども教わりました。
爽やかな秋風の中で仲間とサイクリングを楽しみ、初めて会った人でも一緒に自転車で走ると仲良くなることを知ると同時に、草津市の自転車走行環境のもっと整備が必要なところと、自転車やクルマに乗る人の意識改革が必要なことを学びました。
(より詳しい報告はこちら)
3.プログラムC「ワクワクの新交通システムと未来のまち」
日時:11月4日(火)12:30-17:00 参加者9名

新交通システムってなあに? 多い交通需要をスムーズにさばき、渋滞をなくすと同時に公共交通利用者の利便性を上げるため、大津・湖南地域に新しい交通システムが必要だ、という話は2000年から滋賀県が検討してきました。25年経ってもまだ実現していないけれど、今どうなっているのか、これからどうしたいのか、考えました。
立命館大学びわこ・くさつキャンパスに向かう学生の長蛇の列を解消するために、南草津駅から大学までは直行の連節バスが2016年から走っています。この「JOINT LINER」に乗って南草津駅から立命館大学へ。
もし新交通が実現したらどこを走って誰を運ぶかをイメージするために、ジャンボタクシーに乗り換えて文化ゾーンのびわ湖文化公園から龍谷大学、滋賀ダイハツアリーナ、東大津高校、滋賀県立医科大学と付属病院などをめぐり、立命館大学に戻りました。
会議室にて新交通システムの導入に関する検討経緯を学んだ後、賛成派と反対派に分かれたディベートを行いました。
★賛成派の主な意見
・ワクワクしてまちを活性化できる。新たな需要創出には富山市、宇都宮市に先例がある
・学生が多い地域。新しいことに挑戦している姿を若い世代に見せることは大事。彼らの力も活用するのがよい。
・道路の交通量を減らして環境配慮ができる
・既存道路を活用し、一方通行の横を新交通が走る手もある。車とうまく併用していけばいい。
・これ以上は道路を整備して車を増やさない方がよい
・車に乗れない人のための移動手段が必要。新交通は利便性が高い。
・まちなかが移動しやすくなり中心街に人を集める効果がある。
★反対派の主な意見
・ワクワクできたのは車のない時代、現代では活性化にはつながらない。
・環境配慮は電気自動車+再エネ電力で実現できる。
・「誰もが移動できる」ことは将来的には自動運転などで実現可能。新交通で実現しなければならない理由はない。
・既存道路がある状況では、家の周辺道路やまちを壊すことに住民や行政の理解が得られない。
・現状の公共交通と自家用車で十分である。ハードではなくソフトにお金を投じるべき。
・定時性や便数など、利便性は今のレベルで十分では。
・計画して造られた地域なのに利用見込みはあるのか。新交通を入れても自家用車中心の移動形態は変わらないのでは。
・導入にはお金がかかる。費用対効果が見合わないのでは。活性化は新交通でなくても民間活用など別の方法でできる。
ワクワクする新交通システムの導入には本当は全員が賛成でしたが、あえて反対の立場に立った意見を考え、それに対する反論をしていくことで、導入のためには周囲にどのような説得をしていかないといけないのかを学ぶ機会になりました。
* * * * *
それぞれの現場ごとに学びのあった草津フィールドワークの2回目。
ここで見聞きしたことも活用して、ラストの3回目では草津をどんなまちにしたいか、どんな交通がそこにあってほしいか、そのために自分には何ができるかを考えます。
ワクワクが続きますね☆
(やさしい交通しが 辻博子、南村多津恵)
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